これは、四日市市平成14年度協働事業「NPO巡回講座」の教材として、四日市地域自治研究会が作成したものです。気楽な読み物としてご利用ください。また、お仲間と、役を分担して、台本のように読み合わせていただくこともできます。お試しください。

矢島正浩・文
矢島沙絵・画

目次

昔は村づくりも村民の手で
公益に関することは役所だけが
身近な協力
身近なつながりが希薄に
協力の新しい形
きめ細かいニーズに対応して
地域の問題だけでなく
NPOって
NPO法人って
今、世界は

まとめ

NPO法人の作り方


ここは新興住宅団地内の公園。
おとうさんと娘のさほちゃんがベンチに腰かけて話をしている。
さほ:ここの草取り、みんなでやったの?
パパ:おとうさんも手伝って団地の人みんなでやったんだよ。
さほ:日曜日だったんでしょ。休みの日に大変だったね。
パパ:そうだね。おかげでしばらく足腰が痛かったよ。
さほ:公園だったら役所の人にやってもらえばいいのに。
パパ:それもそうだけど、自分達で草刈りをやると自分達の公園という実感がわいてくるよ。
さほ:そうね、パパや近所の人がきれいにしたのなら汚せないって感じ。
パパ:みんなでやるということにはいろんな意味があるんだよ。実は昔から日本人は協力し合って、住んでいる所のいろんなことをやっていたんだ。
さほ:昔から?
パパ:例えば、江戸時代…。

<昔は村づくりも村民の手で>
(日本にはNPOは昔からあった)

村はずれの雑木林。村人総出で作業。
せがれ:おとう、おらも手伝うよ。
おとう:お前は雑草を刈ってくれ。鎌、うまく使えるか?
せがれ:大丈夫だあ、おとうは何するだ?
おとう:おとうはじゃまな木を切って薪にするだ。草を刈って茸がたくさんでてくるといいな。
村人1:なあ、それはそうと、薪や茸を城下に持っていって金にできるといいなあ。
おとう:それには川に橋がほしいな。
村人1:今のままじゃ、大回りになって、朝早く出ても、帰ってくるころには夜になっちまうしな。
村人2:庄屋さんが橋を造りたいと言ってたぞ。
おとう:それならおれは人足になって手伝うよ。
村人1:そうだな。人手が出せない家は金を出してもらって…。
村人2:それでも金が足らなけりゃ、城下で評判の芝居を寺の境内でやって、近郷近在から見にきてもらって木戸銭をかせぐとか…。
村人1:そういや、江戸では新しく出来た橋は、通るのに金を払うんだそうだ。
おとう:みんなで知恵や力を出し合って、橋をつくろうな。
せがれ:おらも石運んだりするの、手伝うよ。

パパ:今で言う公共工事の全部が全部、村人でやった訳じゃないけれど、村全体に関わるいろんなことを村人自身がやっていたそうだ。
さほ:知らなかった。自分達の村は自分達で作っていったのね。
パパ:しかし、明治になって、外国に負けない国造りのために、いくつかの藩にわかれていたのを、中央集権国家となり、その状況は変わっていったんだ。

<公益に関することは役所だけが>
(公益事業は役所の独占)

男1:江戸が東京になり、幕府にかわって政府というものができたんだそうだ。
男2:お殿さんに年貢を納めるんではなくて、国に税金をおさめるんだそうだ。
男3:何でも西洋の国に負けないように国中から集めた大きな金で国づくりをやるそうだ。
男1:今までおらたちがやっていた橋をつくったり道を直したりするのをやってくれるそうだ。
男3:国全体で計画してやるんだそうだ。
男2:おら聞いたぞ、広い道が山の向こう側を通るそうだ。
男1:え?そんなんだったらおらたちの村にはあまり得にならんな。
男3:ここにも道をつくってもらえるように。お役人にお願いしようよ。

パパ:工事に限らず、いろんなことを中央政府やその指示に従った地方の役所で行われるようになったんだ。
さほ:例えばどんなこと?
パパ:教育の場合、江戸時代は寺子屋といって、行きたい人が行く。
さほ:それいいね。
パパ:これ。授業料は決められていなくて、自由な寄付だった。それが明治時代になると義務教育となり、みんなが学校に行くようになった。そのために施設なんかは役所が用意した。勿論ただではなく、国民は税金という形で皆が費用を負担するんだけどね。
さほ:ほかには?
パパ:なんとか省というものがいろいろ有るよね。それらがやっていることを頭に浮かべればいいよ。
さほ:とっても便利になったのね。
パパ:いままで住民が協力し合ってやっていたことを役所がやってくれるようになったからね。というより、むしろ中央集権体制を維持するために、公益といわれるものは、原則として、役所しかできないように法律が決められたんだ。民間でやろうとする場合には難しい条件をクリアして許可を得ないとできないんだ。(民法第34条祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益に関する社団又は財団にして営利を目的とせざるものは主務官庁の許可を得てこれを法人と為すことを得。)
さほ:じゃあ、何でもやってもらえるんだ。
パパ:いや、予算には限りがあるから、何もかもやってもらうのは無理だよ。だから、何とか自分達のことをやってもらうように、ひたすらお願いすることになってしまうんだね。
さほ:役所が「しなければいけない」ことが、役所が「してやる」ってことになっちゃうね。
パパ:江戸時代はお殿さんへの依存度は少なかったけど、中央集権になって役所に依存の度合いがどんどん強くなっていったんだね。住民の協力しあって公益に携わることはなくなったけど、人情は別だね。ふだんの生活の中での助け合う気持ちは変わらなかったんだ。

<身近な協力>
(個人レベルの助け合い)

戦時中
女1:奥さん、煮物炊いたけど食べて。
女2:わぁうれしい。まだ夕飯の準備してなかったんで助かります。
女1:ご主人から手紙きた?
女2:南方に転戦だって。
女1:大変だね。男手がいるようだったら言ってよね。息子がゴロゴロしてるから。
女2:ありがとうございます。お宅もご主人ご無事を祈ってます。

おとうさんとさほちゃんにおかあさんが加わって。
ママ:飲み物とおやつもってきたよ。
さほ:わぁうれしい。いっしょにお話しよ。
ママ:何の話、してたの?
さほ:助け合いのお話!
パパ:うん。明治から昭和、戦時中はもちろんのこと、つい最近まで住民が助け合う雰囲気があったんだ。
さほ:おばあちゃんが言ってたよ。近所の人がいつでもいろんなものもってやってくるんだって。
ママ:玄関からじゃなくて、勝手口や縁側からね。いつもご近所が見ててくれるから、出掛ける時だっていまだに鍵かけなくてもいいみたいよ。
さほ:ご近所も家族みたいだけど、どうして?
パパ:日本は農耕民族だってこと聞いたことある?
さほ:農耕ってお米作ったり、野菜作ったりってこと?江戸時代はお殿様も侍も給料はお米の量で言ったんでしょ。
ママ:よく知ってるね。何万石のお殿様っていうけど、石っていうのは、お米の量を量る単位なのよ。
パパ:そう、米づくりが社会の中心だったんだ。でも米づくりっていうのは大変なんだ。自分の家だけではできないんだね。田植えや稲刈りなんか、近所同士が助け合わないとできないんだ。
さほ:だから、ふだんから助け合っていたんだね。
パパ:あうんの呼吸ってこと。それと、殆どの地域で、住民が代々住み付いていたり、似たような生活をしていたといっていいね。例えば農村では殆どの家が農家だし、町の中心では殆どの家がお店をしていた。つまり、生活手段がよく似ていた。生活環境が似ていたということさ。
ママ:ご近所同士、理解しやすかったのね。口にださなくてもね。

<身近なつながりが希薄に>
(生活やニーズの多様化)

パパ:でも段々と生活手段が多様化し、高度成長期を経てますますその傾向が強くなった。それに転勤や核家族化で新しい人がどんどん入ってくるようになった。
さほ:この団地なんかもそうだよね。
ママ:そうそう、団地や新興住宅街は昔から住んでいた人はいなくて、馴染みの人はいないよね。新たに繋がりができればいいんだけど、お休みの日が違ったりするとすれ違いになったりすることもあって、最低限のおつきあいになってしまうこともあるのよね。
パパ:西欧は狩猟民族といわれているけど、猟師は基本的には一人で生活するから、他人の協力はあまり必要がない。だから、どうしても必要なときは、あうんの呼吸では無理で、契約書を交わす等して、第三者にわかるような証拠の品物がないとできないんだ。日本ではこと契約社会には慣れていないし、契約という大げさなことでなくても声を出してアピールするすら遠慮があったりして…
さほ:OKなのかだめなのかわからなくなっちゃうね。
パパ:声を出すのが面倒くさいから、それならつきあわない方が楽だということになってしまったんだね。

<協力の新しい形>
(思いやニーズの実現)


団地での集まり

住民1:来月の第2日曜日に団地で草刈りがあるんですが、参加してもらえませんか。
住民2:あいにくと、家は日曜日出勤なので…。
住民1:平日の夜にやる打ち合わせの会議だけでもでてもらえませんか?
住民3:私は日曜はいいんですが、夜は遅くまで仕事をしていますんで、会議はどうも…。
住民2:だいたい、なんで草刈りをやらなきゃならないんです?役所にたのめばいいのに。

パパ:お互いの生活が解らない状況ではなかなかまとまらないね。
ママ:仕事を休んで参加する場合は、大変だよね。
パパ:草刈りと違って、まる一日つぶすような場合、仕事がある人には気の毒だね。
さほ:何か考えなくちゃ。
パパ:ボランティアという言葉を聞いたことがあるだろう?
さほ:奉仕活動をすることでしょ。お仕事じゃなくて
パパ:ボランティアという言葉は元々志願兵という意味で、自発的、自主的に活動することを意味しているんだ。そこには、無報酬という意味はないんだ。もし無報酬なら志願兵はどう生活したらいいか困っちゃうよ。
ママ:あまりボランティアという言葉がただ働きと同じ意味に使われすぎるから、わざわざ有償ボランティアという言い方もあるわね。
パパ:昔はただで奉仕できたことでも、今では人それぞれに事情があるから、何らかの補償を考えなければいけないような状況になってきているね。無償だからりっぱだ、有償は身勝手だ、なんていうのはおかしいね。
さほ:阪神淡路大震災でも大勢のボランティアが活躍したんだよね。
パパ:ボランティアは霞を食べているわけではないから、少なくとも食事はするよね。
ママ:そうね、それも手弁当というわけにはいかないもんね。
パパ:さっき、役所が公益事業の殆どをやっている話をしたけれど、阪神淡路大震災の時といえば、こんなエピソードがあったんだ。5000人いる避難所に4000人分の食事が届いたんだ。役所は平等が大原則なので、あと1000人分届くのを待っていたんだ。その間に最初に来た4000人分が腐ってしまったんだ。
さほ:えー!もったいない!
パパ:でも、できるかぎり同じようにしたいと思う役所としては当然なことなんだ。一般の人だったらどう対処しただろうね。
ママ:そうねえ、例えばお年寄りとか子どもを優先してもいいわね。
パパ:そうだね、でも役所ではそんな規則がない。ルールがなければ出来ないのが原則さ。民間だったら、その避難所にお年寄りが多ければその人たちを優先したり、ルールがあろうがなかろうが、臨機応変に対応できたかもしれないね。

<きめ細かいニーズに対応して>

ママ:そうね、本当に公共のことを、全部、役所に任せていいのかちょっと疑問ね。災害という特殊な状況でなくても、例えば草刈りだって、地域によって簡単に済むところもあれば、たいへんな仕事になるところもあるでしょうし。それを全部役所にまかせたらどうなるかしら?
さほ:役所の仕事がめちゃくちゃふえるし、時間がかかって間に合わないこともあるかも。
パパ:人々の生活が昔のようなワンパターンな生活の仕方の時代や、物がない時代には、必要なものをまず揃える事が重要だったんだ。でも今のように生活の仕方が千差万別になれば、地域のニーズも千差万別になってきた。しかも同じニーズに対しても人それぞれに温度差がある。役所は出来る限り同じようにやろうとして、ある地域の事情を他の地域にもあてはめようとすれば、時間的にも経費的にも大変なことになる。
ママ:例えば道だって、高速道路もあれば、ちいちゃい子が安心して遊べるような車が通ってほしくない道だってあるし、草刈りについて10種類のニーズがあったとして、全部に対応していたら…
さほ:10倍の費用がかかってしまう。
パパ:それは極端だけど、かなりの費用がかかるよね。最近はゴミの分別のことがよく言われるね。
さほ:おかあさんの手伝いするけど、めんどくさいよ。
パパ:昔は役所がやったけど、今はゴミの種類がふえちゃった。それを昔通り役所がやっていたら経費がかかる。その経費はすべて税金だから、結局住民が負担している。それならゴミを出す段階で個人のレベルで分別すれば無駄なお金を使わずに済むということさ。
ママ:役所がやっていたことを住民がやるってことね。
さほ:それって、江戸時代に戻ったみたい。
ママ:えらいね。よく知ってるね。
さほ:さっき、パパに教えてもらったばっかり。

<地域の問題だけでなく>
(公益性)

パパ:そうだね。細かいニーズにすぐに対応するには、住民自らやったほうが小回りがきいていいかもしれないね。ただし、今はニーズが多様化して地域だけに関わるとは限らないから、それに対処できるようになるといいね。
さほ:例えば…。
パパ:子育ての悩みを解決したいとか、安全な食物を手に入れたいとか、文化的な生活を送りたいとかいったことは、地域とは関係なくあちこちにニーズがある。
ママ:そうそう、最近無農薬野菜がブームで、そのために家庭菜園している方もみえるよね。子育ても、昔だったらおじいちゃんおばあちゃんがいたからアドバイスを受けることができたけど、核家族ではどうしたらいいかわからない、そういうニーズのこと?
パパ:そう、子育ての悩みはいろんなケースがあるから、大きな組織の役所では時間的にもなかなか対応しきれない。でもそのニーズを持った人が協力しあって解決方法をみつければいいよね。
ママ:うまく解決できれば、言い出した人達だけでなく、もっと大勢の人が「本当は困っていたんです。助かります」って喜ぶかもしれないね。
パパ:特定の人だけでなく、不特定多数が恩恵をうけることができる。それが前に言った公益なんだ。
さほ:この公園の草刈りだって、団地の人だけでなくて通っていく人だって気持ちいいって思ってもらえるもんね。

<NPOって>

パパ:公益のための仕事は殆ど役所がやり、他には自治会とかいった組織がやってきたんだけど、地域に関係しないニーズもあるからそれには別の組織があるといいね。
さほ:それがボランティアじゃない?
パパ:そう、でもボランティアというのは基本的には個人の活動なんだ。共通のニーズをもった人が自主的に集まって解決しよう、その成果はその人達だけでなくひろく享受できる、そんな組織がつくられるようになったんだ。それがNPOなんだ。
さほ:NPO?どんな意味?
パパ:利益を目的としない組織ということ。
さほ:利益を目的としないってどういうこと?
パパ:民間の組織といえば、会社なんかがあげられるね。会社は儲けることを目的としている。
さほ:NPOは儲けなくていいの?
パパ:そう、そのとおり。自分達の思いが実現できればいいということ!
さほ:でも、儲かっちゃたりして。えーと、無農薬のお野菜をたくさんつくって、それでたくさん売れちゃったりして。
パパ:そんな時は次の年に繰り越ししたり、必要な資料や備品を買えばいいよ。NPOはNon Profit Organization「非営利組織」の略語だけど、非営利ということは、無償ボランティアということではないよ。無償だと長続きしないし生活を犠牲にして参加している人には気の毒だもんね。非営利という言葉に何か無報酬と同じ意味に取られ勝ちだからね。
さほ:この公園の草刈りをやった自治会もNPO?
パパ:実はそうなんだよ。NPOという新しい言葉だと違和感があるけど、昔からやってきたんだね。
さほ:そうか、昔の林の草刈りや橋作りもそうだし…。
パパ:近所でおかずをやりとりは組織ではないけど、戦時中や災害の時の炊き出しは不特定多数に対する組織的なものだからNPOだよ。
ママ:NPOは、儲けることを目的としない、不特定多数の利益になることをする、集まりということ!
さほ:そうなんだ!
パパ:ただ、NPOも、自分達は高い理想に燃えて使命感があるんだから、といってあまりにも視野が狭くなってくると問題もでてくるね。

阪神淡路大震災での話
ボランティア:お食事、もってきました。食べてね、ね、おばあさん。
おばあさん:ありがとう……
ボランティア:どうして食べないの、ねえ、ねえ
おばあさん:冷たくて固いから、年寄りにはちょっと……
ボランティア:せっかく持ってきたんだから食べてよ

罹災者1:救援物資がきたよ。
罹災者2:衣類だ。ちょうど欲しかったところだから助かった。
罹災者3:あ!何、この汚れ!
罹災者4:こっちのは着られないようなボロだ!
罹災者5:捨てるようなものを送って来たんだ。
罹災者6:俺達をなんだと思ってるんだ。
罹災者7:ものさえあればいいと思っているのか。

伊勢湾台風での話
罹災者1:衣類の救援物資がきたよ。
罹災者2:これ見て。立派な着物があるよ。
罹災者3:普段着があればいいんで、これじゃもったいなくて着られないね。
罹災者4:売ってお金にもできるよね。
罹災者5:そうだったら、うちらより被害がひどいところに送ってもらおうよ。
罹災者皆:それがいい、それがいい。

パパ:伊勢湾台風では四日市の特に北部で大きな被害があったんだ。それでも一日で水がひいたからよかったけど、他の所ではずっと水につかっていたり死者がいっぱいでたという話を聞いていたからそんな会話になったんだね。
さほ:災害にあわれた人同士はよくわかっているけど、さっきの汚れたものを送ったり、お年寄りがおなかをこわしそうなものを渡したりっていうの、なんだかさびしいね。
ママ:そういえば、神戸では、いつ製造したか想像もつかない食品が送られてきたケースもあったって聞いたわ。ひょっとして処分に困ったものを送ってきたんじゃないかしら。協調というのは、一方通行とではなくて、心のキャッチボールができなければ成り立たないね。お互いに相手の立場になることがスタートライン。自分が食べたくもないものを配っていないか、自分がもらったら困るものを送っていないかを、考えなくちゃ。
さほ:押しつけの善意は善意ではないよね。
パパ:協調の時代は意志疎通の時代、コミュニケーションの時代。そのために、お互いの情報をオープンにしようよということになる。そこで生まれたのがNPO法人さ。

<NPO法人って>

さほ:NPOとNPO法人とは、違うの?法人っていうとなんか会社みたい。
パパ:NPOだから、会社と大きく違うのは、儲けを目的としない、公益に寄与するということだったね。NPO法人は、さらに、情報を公開するということが重要になってくる。NPOでも大切なことなんだけど、NPO法人では法律できちんと決められているんだ。
さほ:情報公開?
パパ:会社をつくるには資金がなければできない。それを裏付けにして成り立っているんだ。でもNPO法人はお金がなくても設立できるんだ。
ママ:じゃ、何を裏付けにするかというと…
パパ:それが情報公開なのさ。NPO法人の目的や、役員の名前、予算、決算といったことを全部公開するのさ。そうすることによって一般の人に確かに儲けを目的としていない、皆のための法人だという信用を得ようとするのさ。お金がなくても、書類さえ整えれば誰でもNPO法人をつくることができるんだ。
さほ:誰でも?
パパ:うん。多少の制限はあるけどね。
さほ:じゃあ、だれでも社長さんになれるね。
パパ:会社とは言わないから社長じゃないけど、理事さんや理事長さんになれるね。これからは事業の一つの形態として注目を浴びて来ると思うね。公益ということで、役所と協働するNPO法人というのもでてきたよ。
ママ:今は不景気で役所も思うようにできない時代だから、小回りの利くNPO法人が活躍する場が増えるかもしれないね。
パパ:四日市市には、現在30ほどのNPO法人があるんだよ。
さほ:もっと増えるといいね。

<今、世界は>

パパ:今不景気だって言ってたけど、景気が回復できると思うかい?
さほ:そうなってほしいな。
パパ:少なくともバブルのような景気にはならないだろうね。
さほ:どうして?
パパ:戦後右肩あがりの好景気が続いたけど、その時代の景気を支えていた人、例えば、農林漁業従事者、工員、事務員の全部を、働き盛りの人でやろうとしても、これからの時代は人がいないよ。少子化で若い人がどんどん少なくなっているからね。よっぽど産業構造を変えて効率を図るか、発想の転換をしない限り、昔の好景気と同じ構造ではやれないことは明らかだよ。
さほ:私達みたいな若い人はふえないもんね。じゃどうすればいいの?
ママ:助け合えるところは助け合わなけりゃいけないでしょうね。人口の問題は先進国では共通の悩みだけど、景気不景気については、それだけが原因ではなく地球全体が抱えている問題もあるのよ。
さほ:何、それは?
ママ:これまでの経済は外に向かって拡げたり開拓することで成り立っていたの。それはまだまだ余裕があったからね。今地球上で未開の所はあると思う?
さほ:アフリカやアマゾンの奥の方とか?
パパ:いや、酸素の供給地としてなくてはならないもので、本当はもうこれ以上開拓はできないんだよ。身近の所でも、高い山に登って展望台から見ると、今登ってきたのと反対側に、人が入ったこともないような山や森がいっぱい広がっているのを見たことがあるだろう。それを開拓すればまだまだ食料が作れるし、産業が発展すると思うだろう。でも手つかずの森のお陰で水の確保や、空気浄化や温暖防止に役立っているし、食物連鎖を維持しているから人間や他の生物が生きることができているんだ。世界中に存在しているものはどれも、水も空気も無限ではなく、実は限度があるんだよ。
さほ:全体の量が決まっているの?
パパ:そう。だから一人が多く取ったら、ほかの人の分は少なくなってしまう。一つの国に富が集中すれば、その分どこかの国が貧乏になる。さっき、住民のニーズや生き方が多様化してきたという話をしたけど、国もおなじことだよ。ちょっと前までは、世界は右か左かと対立していたよね。それが一方が分解して一つにまとまるかと思ったらそうじゃなかった。実は右か左かではなく、上も下も奥も手前も斜めもあったんだね。一つの物差しですべてを測ろうとしてもだめなんだ。話が大きくなってしまったけど、要は、お互いを尊重しあって、如何に助け合っていかなければいけないかということさ。儲けを目的にするのなら、森はどんどん開拓してどんどん産業を興していけばいいんだけど、それができるのはほんのわずかな間だよ。開拓しつくしたら終わりさ。儲けを目的としないなら、必要なものだけにとどめておけばいいね。非営利ということは、これからの地球を考えるのに、是非とも必要なことだね。非営利は助け合いと同じ意味をもってくるのさ。
ママ:これからは競争の時代から、協調の時代ということね。その上で、それぞれの思いを尊重しなければならないということね。
さほ:でもみんなが勝手なことを考えちゃったら大変だよ。
パパ:まず一人ひとりが自発的に考え、その上で共通の思いの人と協力しあって実現させることが大切だろうね。それがNPOだよ。いっそ、NPOを、Necessary Partnership for Object「目的のために必要不可欠な助け合い」の略語といった方がいいかも。(これは四日市地域自治研究会の提唱している言葉で一般的ではありません。)
さほ:私もグループつくってみようかな?
ママ:そうね、できることから始めればいいよね。

まとめ

NPOとは、ノン・プロフィット・オーガニゼーション(Non Profit Organization)の略で、日本語では「民間非営利組織」と訳されています。広い意味では「営利を目的としない民間の組織」全般をいうこともありますが、一般的には、福祉や環境、社会教育、地域安全などいろいろな分野で社会貢献活動を行う市民活動団体をNPOと呼んでおります。
ボランティアもNPOも「よりよい社会、あるいは地域にしたい」という社会的使命をもち、営利を目的としないで活動しているのは同じでが、ボランティアという場合は、一般的に社会的使命を持って活動する「個人やその意思」をさし、一方、NPOという場合は、社会的使命に基づく活動を「継続的に行う組織」のことをいいます。両者には、個人と組織、継続的な活動であるかどうか、という点に違いがあります。同じ使命をもったボランティアが何人か集まり、組織化し、継続的に活動していけば、それはNPOといえます。
つまり、NPOは次のような特徴をもった団体です。
1具体的な社会貢献の目的(=社会的使命・ミッション。例えば、公園をきれいに整備する等)を持って、自発的に集まった会員で構成された団体
2その活動が、会員相互の交流・親睦などといった特定の人のため、ではなく、不特定多数の利益を目的とした団体
3「非営利」の団体
ここでいう「非営利」とは、収益事業を行わないのではありません。収益事業を行って利益が出た場合、株式会社など「営利」を目的とした団体はその利益を株主等に配分しますが、「非営利」の団体は、その利益を配分せずに、組織の新たな事業に使えばよいのです。

NPOを特別なものと考えずに、自分のためにも人のためにもなることを、身近なことから始めてみませんか。

NPO法人の作り方

全部で15種類の書類がいりますが、とりあえず主なものをあげます。
1どんな思いで、法人を作ろうかを、文にしてください。
これが設立趣旨書となります。
2趣旨に賛同する仲間を集めてください。
人数はあなたを含めて10人以上ですが、なるべく親族をさけてください。親族の場合役員になれる人数が限られますし、できるだけ多くの方に協力をお願いすることがNPO法人の第一歩と考えていただきたいからです。
3定款を考えましょう。
目的の項は、「…もって不特定多数の者の利益の増進に寄与することを目的とする。」が決め言葉。
4設立当初の財産目録を考えましょう。
お金がなくても法人は作ることができますが、事務所や電話をどこにするのか、その費用はどうするのか等を考えてみましょう。
5設立の初年度と次年度の事業計画と予算をどうするか考えましょう。
会費はどうするのか、どのように収入を得るか、考えてみましょう。
6役員として、理事を3名以上、監事を1名以上決めましょう。
7設立総会を開いて、上記の3、4、5、6を審議してください。
議事録がいりますよ。
8書類15種類をもって県NPOチームか、県民局へでかけましょう。
必要な書類15種類については、県NPOチームか、県民局、または四日市市市民活動センターでおたずねください。
9書類に問題がなければ、およそ4カ月で認証されます。
10認証されたら2週間以内に法務局に設立登記をします。
11登記簿謄本を県NPOチームか、県民局に提出してください。

おめでとうございます。NPO法人ができました。
思いが実現できますように、がんばってください。

三重県生活部NPOチーム
〒514-0009津市羽所町700アスト津3Fみえ市民活動ボランティアセンター内
TEL=059-222-5981 FAX=059-222-5971

北勢県民局生活環境部生活労働グループ
〒510-8511四日市市新正4-21-5
TEL=0593-52-0762 FAX=0593-52-0765

四日市市市民活動センター
〒510-0045四日市市蔵町4-17
TEL=0593-50-0201 FAX=0593-50-0203